STAGEON 式 “ 一流 ” のマーケティング思考術「型化」

正解にたどり着く確率とスピードを飛躍的に上げられる「型化」の極意

「型化」とは

「型化」を定義するには、前提として「ゴール」が必要です。ゴールに到達した状態を成功と定義したとき、成功事例から成功するために必要な条件を抜き出し、別のアクションを起こす際、その条件を用いることでゴールに到達しやすくすることを、私たちは型化と呼んでいます。

成功事例のほか、自分の過去のアクションから良い・悪いを判断して条件を抜き出すことも可能です。成功事例や過去の行動からの条件を抜き出すことなしに、型化はできません。それらしいものは作れるかもしれませんが、結局ＰＤＣＡサイクルを回してみないことには成功に近づいているかどうかわからないので、厳密な意味では型化とはいえないでしょう。

マーケティングにおいてなぜ『型化』が大切か

マーケティングにおいて型化が大切な理由は２つあります。

１つは、正解にたどり着く確率を上げられるからです。マーケティングには明確な答えがありませんが、型化することでクライアントのビジネスを拡大することの出来る最適解にたどり着く確率を上げていけると思っています。手当たり次第に０から１０までの方法を試していては膨大な時間がかかりますし、失敗する確率も高いです。ところが、成功事例に共通する型を見つけ出して型化すれば、行動達成の確率がどんどん上がっていきます。

もう１つは、時間短縮による効率化ができるからです。成功するために必要な条件を抜き出して、それに当てはめていくだけなので、今すべきことが一瞬で理解できるようになります。「そもそも何をしなくちゃはいけないんだっけ？」から始まる人と、「よし、これをやればいいんだ！」とスタートを切れる人では、スピードが段違いです。

たとえるなら、型化はゴールにたどり着くための道筋を示してくれるようなものだと思います。地図アプリで目的地までの経路を調べてから歩いていく人と、何も見ずやみくもに歩いていく人では、どちらが早く目的地に到着するかは火を見るよりも明らかです。

さらに、型化は仕事を進めていく上でストレスの軽減にも役立ちます。多くの選択肢がある中でマーケティングの担当者に重くのしかかるのは、「ここから何をしなくてはいけないんだろう」という不安です。「これとこれをやればいい」という明確な指針があれば迷わず行動できるので、自信を持って仕事に取り組めます。

「型化」を活かしたＹｏｕＴｕｂｅマーケティング事例

不動産系・士業系のＹｏｕＴｕｂｅチャンネルを例に挙げると、視聴者の疑問点や不安を可視化する型、「これ１本ですべてわかる」完全版の型など、いろいろな型があります。

後者の完全版の型は、もともと別ジャンルで伸びている型でした。しかし、「この完全版の型を、不動産投資というジャンルで、その演者の実績や強みを盛り込んだ形で再現したら差別化が図れるのではないか」と考えて実践してみたところ、狙い通り、唯一無二の動画チャンネルを作ることに成功しました。完全版の型を使った長尺かつ特別感のある動画は、ＹｏｕＴｕｂｅチャンネルを立ち上げたらすぐに投稿するのがおすすめです。おそらく一回で最後までは観てもらえないので、最初に投稿しておき、別の動画を投稿したときに完全版に誘導することで動画の視聴維持率を上げていく運営戦略を立てられます。完全版の型はすべての演者に適するわけではありませんが、不動産系・士業系なら、「このチャンネルだけで、この分野のことはすべて学べますよ」というコンセプトがはまりやすいと思います。

別の事例として、救済企画と呼ばれる型もあります。救済企画とは、ビジネスに悩んでいる方を助けたり、やりたいことがわからない方の悩みを解決したりするドキュメンタリー企画のことです。ある業界で有名な社長が従業員に情熱的な指導をする動画が注目されていたので、「この型を別ジャンルのビジネスにも転用したら面白いのでは」と試してみたところ、こちらも見事に成功しました。

ただし、救済の型がハマるのは、演者が熱量を持って語れる場合だけです。熱く伝えるシーンがないと訴求力のあるキャッチフレーズとサムネイルが作れませんし、視聴者も感情を動かされないと視聴者数が伸びていきません。

ＳＴＡＧＥＯＮでは、ジャンルを超えた成功事例から型を見い出すことと、クライアント（演者）の強みや特性を理解して、どの型を使うか考えることの両面から支援をしています。

『型化』はゴールに辿り着くための道筋を示してくれるようなもの

陥りやすい失敗例

型化はゴールにたどり着くための道筋を示してくれるようなものですが、初めて型化に取り組むときに失敗してしまうケースがあります。よくある原因は「抽象化の甘さ」です。

伸びる動画には、視聴者のニーズを満たしており、競争優位性が確立されているという共通項があります。私がコンセプトを作るときもその２つの要素を意識していますが、自分なりには深掘りできていたものの、きちんと言語化できていなかったときがありました。

その結果、一緒にチャンネルを運営していくチームメンバーがコンセプトを正しく理解できず、ＹｏｕＴｕｂｅにアップされた動画では視聴者のニーズを満たす演者の強みをまったく打ち出せていなかったのです。型化するときは、演者の強みや競争優位性を何となく抽象化するだけでは不十分で、細かく言語化してチーム内で共有することが必要だと実感しました。

さらに、チーム内で認識のズレを防ぐためにはゴールの定義も言語化して共有すべきです。特に複数のゴールがある場合、型だけ決めてチーム内でゴールを共有できていないと、進んでいく方向がズレてしまいます。その際、「これも重要、それも重要、あれも重要だから、全部満たせるようにしましょう」とすると、なかなか行動に移せませんし、１つのゴールが達成されるまでに時間がかかってしまいます。それでは型化のメリットである効率化ができません。型が絵に描いた餅にならないよう、重要な部分に絞って、チーム内で優先順位をつけていくことが成功のコツです。

そのほか、陥りやすい失敗例として、１つの型で成功したときにその事例に依存しすぎて、延々と同じ型を使ってしまうことも挙げられます。思考停止することなく、常に「この型がベストなのかな」と自問し、ブラッシュアップしていくことも大切です。

「型化」トレーニング方法

型化する力を身につけるには、まずゴールのイメージを確立することが大切です。ゴールのイメージがあやふやだと、そこに到達するための手段もズレてきてしまいますから。今回は、動画を用いたゴールを明確にする型化のトレーニングを紹介します。

動画のゴールを決めたら、参考用に選んだ面白い動画を３つくらい並べてみて、「この動画の良さって何だろう」「このクオリティに達するための魅力って何だろう」と考えて、共通する条件を抜きだします。その抜き出した条件を、ゴールの達成条件の項目ごとに当てはめていきます。

たとえば、新しい型を作るとき、ただ「型を作る」だけではゴールの定義が曖昧です。そこで、必要条件から洗い出していきます。動画で演者の魅力を打ち出すには、演者の持つ実績や強みのうちどれを魅力として前面に出していくかを決めることが必要です。その後、どの視聴者のニーズを満たすのか、競合チャンネルが実践している型のうちどれを使うのかを決めていきます。

それから、異なるジャンルで当たっている動画、有名な動画の型をひたすら書き出していきます。演者の強みと視聴者ニーズを満たす他ジャンルの型を、どんなふうに転用すればより面白くなるのか、思いついたアイデアをどんどん書き出していくやり方です。

いわば、ゴールに向かって必要なステップを概念で作っていくイメージですね。新しいアイデアは、既存のアイデアの要素を組み合わせることで生まれます。トレーニングを重ねることで抽象化思考力を鍛えて、アイデア抽出ができるようになっていきます。