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平松建築株式会社
職人社長の家づくり工務店
YouTube チャンネル運用で問い合わせの “ 質 ” が変わった 企業のファン化を促進し、コスト削減と事業拡大を実現した取り組みとは
- ■ 支援期間:
- 2022.10〜2024.12
建築会社

OUTLINE
概要
コンセプトを刷新して PDCA を回したら、登録者数が急増。ビジネスの成長に直結する YouTube チャンネル運営の極意とは。
平松明展|プロフィール
19歳から大工として10年間100件以上の数十年経過した住宅を解体、修繕し続け、丈夫な家造りとすぐに壊れる家造りの特徴を理解する。数々の現場をこなし経験する傍ら、様々な資格を取得して10年目に独立。29歳で平松建築を個人事業主として創業。32歳で平松建築株式会社として法人設立。工務店経営をする傍ら、より良い家造りを提案する工務店をテーマに全国で同業に向けて講演会を開催。次世代工務店プロジェクトとして工務店経営3.0を提唱している。同業の工務店のコンサル実績も多数。2021年に「お金が貯まる家3.0」を商業出版。
YouTubeチャンネルのコンセプト設計を重視し、 注文住宅に関する情報の質と量で日本一を目指した
Q1
YouTube運営の支援をSTAGEONに任せた理由を教えてください。
- 平松
- 私たちはSTAGEONに支援を依頼する前からYouTubeチャンネルを運営しており、動画編集のみ他社に外注していました。しかし、チャンネル開設から2年経っても登録者数が3000人程度と伸び悩んでいたんです。そんな折、YouTube運営のノウハウを学ぶ勉強会に参加したのが、STAGEONとの出会いでした。これまでの平松建築のYouTubeチャンネルのデータをもとに、STAGEONは今後どれだけチャンネルを伸ばし、ビジネスの成果に結びつけることができるのかシミュレーションしたものと、そのための計画を提案してくれました。提案内容を見て、投資対効果は十分期待できると考えて、STAGEONにYouTubeマーケティングを任せることにしました。
Q2
どのような形で支援が始まったのでしょうか?
- 平松
- まずコンセプト設計が重要ということで、議論を交わしながら 「注文住宅の情報は、このチャンネルを見れば全部わかる」というコンセプトを決めました。
- STAGEON 名和田
- このコンセプト設計の背景には、競合チャンネルの分析があります。平松社長は質の高い家づくりの情報を持っているにも関わらず、認知が広がっていない課題がありました。そこで情報量をさらに増やし、情報の質と量における”日本一”を目指せば、誰もが平松社長の動画を見るようになると予測したのです。
Q3
印象に残っている、助けられたと感じた支援の内容を教えてください。
- 平松
- 月次レポートに基づいた検証を続けることはもちろん、遠慮なく改善点や意見をだしてくれるのも助かりました。当時チャンネルの担当者だった名和田君が私に質問を投げかける形で動画を撮影するのですが、彼はいつも視聴者さんの視点で質問してくれるので、話しやすかったです。
- STAGEON 名和田
- 注文住宅の情報は専門的なので、一度聞いても理解できないことが多いんです。僕がそう感じるということは、視聴者さんも同じはずなので、動画では同じ質問もあえて繰り返していました。専門性をどうかみ砕くかという課題は、一つの大きな山だったと感じています。
- 平松
- 私もはじめはどう話すか悩んでいました。相手が知識を持っている前提で話してしまうと、初めて聞く視聴者さんに届く言葉では話せません。ですから、撮影中は視聴者の視点を持ち続けてくれる聞き手として、名和田君がそばにいることに助けられました。「それは伝わりにくいですよ」、「もっとこういう言い方にしましょう」と伝えてくれるので、さすがYouTubeマーケティングのプロだと感じました。これだけ年の離れた工務店の経営者にどんどん意見や質問をしてくるので、たいした度胸だなと思いましたよ。
- STAGEON 名和田
- 最初はびくびくしてたんですが、平松さんが遠慮なく言っていいよって言ってくださったんで……(笑)。個人的にいつも心がけているのは、専門用語を自分の言葉で説明できるか試すことです。平松社長が話してくださったことを、「それってこういうことです
か?」と自分の言葉で言い換えてみて、理解できているかどうか確かめていました。そうやって平松社長とのやりとりを深めながら、専門的な知識を動画でわかりやすく伝えるところまで落とし込めたのだと思います。
- 平松
- すべては 「視聴者さんにわかりやすく伝える」という目標があったからこそです。
Q4
二人の関係性もチャンネルの成功要因になっていそうですね。
- 平松
- それはあると思います。何かのプロジェクトを一緒にやる仲間同士で遠慮はいりません。名和田君とは年齢や立場を超えて、フラットに同じ目的を目指す関係性を築けました。
- STAGEON 名和田
- 最終的にビジネスを成長させる、つまり数字を良い方向に変化させていくことがゴールなので、そのためには手段を選ばずやっていこうと考えていました。その目線を平松社長と合わせられていて、提案を柔軟に取り入れていただける環境だったからこそ、飛躍的にチャンネルが伸びていったのだと思います。

質を担保した動画を毎日投稿し続けることで 登録者数は目標値を大幅に超えて急増
Q5
ビジネスにつながるという点で、数字の変化について振り返ってお聞かせください。
- 平松
- STAGEONの支援導入を検討するとき、投稿数に紐づく登録者数や問い合わせ数の増加率のシミュレーションを作ってもらい、支援開始から1年間で登録者数4万2,000人を目標に設定しました。実際に連携が始まると、早々に登録者数4万人を突破し、目標をどんどん上方修正しながら年間運営を1 年間運営を続けた結果、あと少しで10万人というところまで登録者数を伸ばすことができました。目標の倍以上の成果が出て、本当にありがたいです。
- STAGEON 名和田
- 事前のシミュレーションでは競合チャンネルの登録者数を分析し、おそらくここまではいけるだろう、という目標を設定していました。でも、ここだけの話、目標は設定しているものの、数字を達成することよりも視聴者さんに質のいい動画を届けることを常に重視していたんです。その運営方針が、倍以上の成果に結びつきました。
Q6
YouTubeチャンネルの成長は、ビジネスにどのような変化をもたらしましたか?
- 平松
- YouTubeチャンネルが広く認知されるようになってからは、住宅事業部へのお問い合わせの8~9割がYouTubeチャンネルを視聴したお客様です。また、CPO (Cost Per Order) は4分の1程度に下がり、業界平均8万~10万円と言われているCPA (Cost Per Acquisition ) は3万円以下と極めて低く抑えられています。営業の生産性も高まりました。高額な商品だからこそ、住宅業界の営業担当者はお客様の信頼を勝ち取るプロセスや、自社の工法の説明に時間をかけます。そこはある意味営業の腕の見せ所とも言えます
が、多くの人的リソースを割いていることも事実です。ところがYouTubeチャンネルの視聴者さんは、平松建築の魅力を動画で理解し、その情報を信頼した状態でお問い合わせしてくださいます。問い合わせをした時点で家を買いたいという意志がある、かつ自社のこともよく理解してくださっているお客様が大半を占めるようになったことで、営業担当者のコミュニケーションコストは大幅に削減されました。物価上昇の影響を受け、建築業界でもあらゆるコストが跳ね上がっています。業界としては苦しい状況ですが、私たちはYouTubeチャンネルの運営によって営業・広告にかかるコスト削減できたため、提供する家の質を下げることなく、利益を残すことに成功しています。また、影響があったのは既存事業だけではありません。平松建築の工法や思想を全国に展開する事業部を新たに立ち上げ、すでに40社がそこに加盟してくださっています。ここから200社まで増える見込みも立っており、加盟社が増えるスピードにおいては、おそらく日本一と言えるでしょう。まさに住宅業界に革命をおこしていくような取り組みが始まっているわけですが、これもYouTubeチャンネルを運営していなければ挑戦できなかったことだと思います。
- STAGEON 名和田
- 平松社長は一貫して「家づくりは人生づくり」という信念のもと情報発信に臨んでいたので、それがYouTubeを通じて多くの方に認知された結果だと思います。私たちは視聴者のニーズを理解することと、平松社長の魅力を引き出しながら競争優位性を作って
いくということを地道に繰り返しました。
Q7
これまでで印象に残っている動画はありますか?
- 平松
- 現在公開されている、注文住宅のすべてを解説した完全版の動画は、動画1本の撮影時間が3時間に及びました。事前にその日一日分の動画企画と撮影内容を計画し、完全版の動画の撮影を最後に設定にしていたのですが、実際に撮影を始めたら、その日に撮影したトータルの時間があまりにも長すぎて何を話したのかわからなくなってきて(笑)。あれは今までで一番大変な撮影でしたが、あの動画を作ってよかったと思います。現在、すでに44万回再生されており、注文住宅について調べれば必ず検索結果に出てくるロングヒット動画ですから。
Q8
チャンネルが成長する起点になった動画、という感じでしょうか。
- 平松
- 完全版の動画は確かにチャンネル全体の底上げに貢献している動画ではありますが、登録者数が伸びるきっかけになったのは、また別の動画です。
- STAGEON 名和田
- 防犯系の動画を出したとき、ちょうどニュースで泥棒対策に関する話題が上がったんです。世間の注目が集まるタイミングでニーズにぴったりの動画を出したことで、それが一気に伸びました。
- 平松
- 伸びるという仮説を立てた企画でも、実際に伸びるかどうかは出してみなければわかりません。とにかく数を打つということと動画の質の担保、この両方を意識したからこそ、どんどん登録者数が伸びていったのだと思います。
Q9
登録者数が多くなればなるほど、視聴者さんの反響も多く届きますよね。
- 平松
- YouTubeチャンネルにはたくさんのコメントが寄せられます。ポジティブなコメントはもちろん嬉しいですし、ネガティブなコメントも新しい考え方に気付く、
学びのきっかけになっています。いくらバランスよく話そうとしても偏りが出てしまうことはあるので、コメントを参考にしながら改善するようにしています。
- STAGEON 名和田
- YouTubeチャンネルに寄せられるコメントは、お客様のニーズが何なのか知る機会になります。正直な本音が集まるからこそ、演者として立つ経営者は本当の意味で顧客視点に立つことができると思います。
- 平松
- お客様の生の声を聞くという話ですと、コミュニティ投稿を活用したアンケートを実施しています。たとえば、どのタイミングで勉強会をやれば参加しやすいかといった質問を投げかけると、その回答をもとに最適な時間帯で勉強会を設定することができます。こうしたカジュアルな接点を持てることも、YouTubeチャンネルを運営するメリットだと思います。

YouTube 運営で最も大切なのは「目的」 「家づくりで日本を元気に」を旗印に続く挑戦
Q10
ご自身が演者として前に立つことで、良かったと感じることはありますか?
- 平松
- 動画撮影を重ねてきたからこそ、何を訊かれても磨かれた言葉でパッと答えられるようになりました。それに、専門知識をわかりやすく説明するためには、自分自身の理解力を高めなければなりませんから、これもまた自分の成長につながっていると思います。社長が成長し続けなければ従業員は成長しませんし、社長の能力を超えたらみんな他社に転職してしまうでしょう。ですから、私にとって成長し続けることは必然です。その成長をYouTubeが底上げしてくれていると感じています。
Q11
自身の発信が届いているという手応えを感じた瞬間はありましたか?
- 平松
- アップデートされていく情報はあるものの、私が動画を通じて伝えている「価値が下がらない家」、「トータルコストのいい家づくり」というメッセージはずっと変わりません。自分たちだけでYouTubeチャンネル運営をしていた時はそのメッセージをどんなに伝えても、800回くらいしか動画が再生されなかったのですが、今となっては通常の動画でも平均的に1万回以上再生されるようになっています。再生回数を比べてみても、それだけ多くの人にメッセージが伝わっているのだということを実感します。STAGEONの支援を受ける前からYouTubeライブにも取り組んでいましたが、2年続けても1回あたり100回程度しか再生されませんでした。一方、現在では平均3000回視聴される
ようになっています。3000人の勉強会をやる機会なんて、なかなか想像できませんよね。
Q12
YouTubeライブではどんなことを配信しているのですか?
- 平松
- YouTubeライブはお客様との対話の場として臨んでいます。コメントすべてに返信すると時間がかかってしまうので、YouTubeライブを通じてお客様の質問に答えていくようにしています。1時間から1時間半で、寄せられる質問は約100件。それに答えていく形です。
Q13
今後の目標や展望についてお聞かせください。
- 平松
- YouTubeチャンネルを運営するうえで、最も大切なのは目的です。私は「家づくりで日本を元気に」という目的を持って、ここまで運営を続けてきました。日本の家は
32年ほどで建て替えられるというデータがあります。そのぶん家を売りやすいとも言えますが、私はせっかく作った家を短期間で立て替えてしまうのは極めてもったいないこと
だと感じています。ゴミの最終処分場があと20年で埋まると言われているなかで、すぐ処分されてしまう家をこれ以上増やしたくはありません。また、インフレが加速している昨今、価値が下がらない家は個人の資産として極めて重要な意味を持ちます。3000万円で購入した家が、同じ3000万円で売れれば、それは家を買ってお金を出していないに等しいですよね。もちろん、資産的な価値に加え、耐震性や光熱費削減、快適さといったあらゆる面でも自信をもってお届けできる家です。こうしたトータルコストのいい家に住むことができれば、誰もが人生をよりよい方向へ変えていくことができると考えています。私は「価値が下がらない家」、「トータルコストのいい家」が当たり前の価値観として日本に浸透することを目指しています。そのメッセージを伝える手段として、YouTubeチャンネルの運営には今後も注力していきたいです。YouTubeはテレビの次に主流となる動画プラットフォームであり、次世代を担う多くの人に影響を与えられるメディアだと考えています。そこで情報発信を続けることで、家づくりの常識を変え、日本を元気にしていきたいです。
